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『ライトついてますか』と『スーパーエンジニアへの道』

Are you light on?

ゴースとワインバーグの共著、『ライトついてますか』を読んだ。

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

名前は何度も目にしていたのだけど実際に手に取ったのは今回が初めて。 全体的にちょっと皮肉っぽい感じで構成されているが、「問題」について考えさせられることがたくさん書かれている。

印象に残った点をいくつか列挙してもよいのだが、有名な本だし、他のブログでたくさん書評や感想が書かれているので、個人的にささった文を一つだけ引用しよう。

問題のでどころは

もっともしばしば

われわれ自身の中にある

う~ん、たしかに、「問題」が自身の中(特に自分の感情や抱いた印象)で発生していることは多々あるな~と、この文を読んで自省した。

タイトルにもなっている「ライトついてますか?」のところは、実際、大して印象に残らなかった。 ふ~ん、という感じで、よく引用される『人月の神話』の銀の弾丸と同じで、もっと面白くて印象に残るところは他にたくさんあるのにな~と思った。

スーパーエンジニア

もともと、この本を改めて手に取ってみるかと思ったきっかけは、同じくワインバーグ著の『スーパーエンジニアへの道』を読んだことだ。

スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学

スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学

『スーパーエンジニアへの道』と、ちょっといかにもな名前がついているが、原題は Becoming a Technical Leader だ。 このいかにもな邦訳は、訳者によるいいわけ?のようなものが書かれていて、

原題は、直訳すれば「技術リーダーになるということ ―有機的問題解決アプローチ」となる。確かにそういう趣旨の本なのだが、そう直訳したのでは日本の書店の店頭に並んだとき、なんだか変な題の本だな、と見過ごされてしまう恐れが大きいように思われた。 そこで「スーパーエンジニアへの道」という邦訳をひねり出した。

(略)

実は「スーパーエンジニアへの道」という題は、ひょっとすると原著者に好かれないかもしれないなあ、という気もしている。(中略)だからこの訳題に対してもし読者からお叱言があれば、それは訳者の方で謹んで承る。

ということだそうだ。初版が 1991 年に出版されていると考えると、時代背景上、こういうタイトルにするのもまぁ納得できる気もする。

実際、原著者のセミナーでは「成功したシステムでは少数の傑出した技術労働者、すなわちスーパーエンジニアが存在していた」と言及されていたらしく、あながち間違いでもないのかもしれない。

問題理解と問題解決

というわけで、この本には「技術リーダー」に関することが書かれている。全体として「技術リーダーになるにはこうしろ、ああしろ」とおしつけがましい記述はなく、「私の見てきた優れた技術リーダーはこういう要素を持っていた」という記述がほとんどだ。 その要素の中で、個人的に重要だと思ったのが「優れた技術リーダーは、問題解決よりも問題理解を優先する」という点だ。

振り返ってみると働いていて、問題解決を優先していたなぁと思う点が多い。例えば何か、技術的なことを相談されたとして、

同僚「X が Y なんですけど、どうしましょ?」

自分「あー、それは X を Z にしちゃえばいいんじゃないですかね」

という答え方をしてきたことが多々ある。これは「問題解決」を優先し、「問題理解」を妨げている一例だと思う。

こうではなくて、

同僚「X が Y なんですけど、どうしましょ?」

自分「あー、X が Y でだめな理由ってなんでしたっけ」

というやりとりをする方が、「問題理解」という点でよりいい方向なんだと思う。 実際、「X が Y でだめな理由は特になかった」、「本当は Z を Y にしないとだめだった」など、「問題解決」の優先はこういう「あるある間違い」の要因になってるな、と思ったりした。

こうやって『スーパーエンジニアへの道』を読みながら、「問題」について考えるのってなかなか難しいぞ、と思っていた時に「そういえば、こんな本もあったな」と再会したのが『ライトついてますか』だった。

技術リーダーになりたいか

そういえば、なぜ自分はこの本を手に取ったのだろう。 きっと20代前半の頃にはこういう本には見向きもしなかったと思う。 きっと、20代も終りに近づいてきて、なんとなく今後のキャリアについて考えるようになったからだと思う(別に 35 歳でプログラマは引退だ!いざ上流!とはぜんぜん思ってなのだけど)。

4年半くらいソフトウェアエンジニアとして働いてきて、考え方もだいぶ変わってきたなと最近思う。 もともとは一人でなんでもやるぜーみたいな考え方だったけど、チームを技術的にリードするのも面白そうだなぁと感じるようになった(自分にその能力があるかは置いておく :^))。 『Team Geek』にも「ギークは、自分の力だけでスゴイものを生み出すのが最高だと思ってるけど、スゴイ人が集まるチームを率いれば数倍スゴイものが生み出せるんだぜ!」みたいなことが書いてあった記憶があって、「うんうん、そういう楽しさもあるよなー」と思うようになった。

というわけで「技術リーダー?いいじゃん興味あるよ!やってみたいかも!キャリア的にもそういう方向がいいかも!」と思って、この本を読み進めたが最後の章では

もしあなたが何かをそんなにほしいと思うのなら、多分あなたはそれをもらわないほうがいい。

みたいな感じのどんでん返しが書かれていて、「え!さんざん煽っておいてそんなオチですか!」という感じだが、「まぁ言われてみればそうかも・・・」とか思ったし、ちょっとオシャレなオチだなって思ったりした。

結局、『スーパーエンジニアへの道』の感想の方が長くなったが、自分としては『スーパーエンジニアへの道』の方が読んでてためになった。

 

 

hjm333.hatenablog.com

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