『すばらしい新世界』を読んで
オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』を読みました。
オーウェルの『1984』と並んでディストピアで有名な小説。 いつだったか Kindle で買ってあって積んであったけど、講読してるブログで紹介されていたのがきっかけで読んでみた。
『1984』は学生の頃に読んでとても好きになったのでけっこう期待して読んだけどあまり印象には残らなかったな。 描かれている世界はもちろんディストピアなんだろうけど、基本的にみんな幸せそうだったからかな、ディストピアをあまり感じなかった。 「みんなが幸福に生きているのならそれが人工的なものであってもそれはそれでありなんじゃないかな」と思ってしまった。 ガンマ階級の人々も“条件付け”によって不快な労働にはならないようになってるわけだし。 自由意志が〜みたいなことでいえばディストピアなのだろうけど。
ただ、後半の章で語られる世界感的な哲学の部分はそれなりに面白かった。 幸福が常に満たされるようになった結果、小説や芸術は必要なくなったという点とか、そもそも家族という枠組みを廃止したのも興味深い。 最近、考えるのだけど 100 年前の社会制度を「ありえないw」って思うように、100 年後は現代の当然の制度を「ありえないw」と思うのだろうなーと。 現代の家族制度も確かになくなる可能性はあるだろうなと思ったりした。
あと、自分はシェークスピアがまったく分からなくてそれの引用ばっかりなのはつらかった。 というか題名もシェークスピアから来てたんだね。それも読んで初めて知った。 オーウェルがイートンの学生の頃、著者のハクスリーからフランス語を教わっていたというエピソードを知ってそういうつながりもあるんだなーと思った。