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『イノベーションのジレンマ』を読んで

読書感想

11月くらいに翔泳社Kindle の安売りセールをしていたので数冊まとめ買いしたのだけれど、その中で唯一のビジネス書(?)が『イノベーションのジレンマ』だった。ソフトウェア業界に勤めて数年、よくその名前を耳にするので「この業界の教養なのかなー」とか思って購入した。(あとは『キャズム』とかが教養なんだろうなと勝手に思ってる←偏見)

 
せっかくなので記憶が新しいうちにざっくりと内容をまとめてみようと思う。って下書きに書いてたんだけど、時間がかかっていつの間にか 2015 年になっちゃった。
 
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press

 

 

本書でとりあげるのは、業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面したとき図らずもその地位を守ることに失敗するはなしである。(『イノベーションのジレンマ』、序章)
 
イノベーションのジレンマとは、業界や市場をリードするような成功した優良企業であればあるほど、その組織プロセスや組織を取り巻く環境によって『破壊的イノベーション』と呼ばれるイノベーションを扱うことに失敗してしまうというジレンマである。その企業は、官僚化や同族経営、慢心などとは無縁であり、多くの経営者から尊敬を集めるような経営陣が率いる企業である。そういった企業こそ『破壊的イノベーション』に直面すると失敗してしまう。
 
筆者はイノベーションを以下の2種類に分類している。
持続的イノベーションとは、製品の性能を高める技術である。その特徴は既存市場で評価される性能指標に従って技術を発展させる点である。多くの技術開発はこのイノベーションに分類される。
破壊的イノベーションは、短期的には製品の性能を低くする効果を持つ。ただし、「既存の市場で評価される」という尺度で測った場合の性能が低下するのであって、新たな市場にとっては魅力的な特徴を持っている。破壊的イノベーションが登場した段階では、このイノベーションは既存市場で見向きもされない。ただし、新たな市場で多くの顧客を獲得すると急速に性能が上昇し、既存市場の従来の製品を駆逐して、既存市場を含んだすべての市場を支配する(すべては言い過ぎかもしれないな)
 
優良企業がこの破壊的イノベーションに失敗する理由として、筆者は『バリューネットワーク』の存在を挙げている。『バリューネットワーク』とは企業を取り巻く環境のことで、より具体的には投資家、顧客、社員など、企業の価値基準を決定する存在の総称である。企業はこの『バリューネットワーク』の中で様々な企業行動をする。企業は『バリューネットワーク』に評価されない行動はとることができない。なぜなら、『バリューネットワーク』に評価されることこそが企業の存在価値だからである(投資家にも顧客にも評価されない企業に存在価値はないですね)。
 
「登場時、既存の顧客に評価されない」という破壊的イノベーションへの投資行動は、すでに大成功した製品を持っている優良企業の『バリューネットワーク』とは相容れない。同時に、そのような企業の社員にとっても『バリューネットワーク』とは相容れないプロジェクトには関わることにメリットはない。このように、破壊的イノベーションは優良企業の『バリューネットワーク』には評価されず、成功した企業であればあるほど破壊的イノベーションの取り扱いに失敗してしまうのである。これがイノベーションのジレンマの原因である。
 
以下、感想。
以前から、事象っていうのはそれを含む枠組みによってほぼ決まってしまうと思っている。「それを含む枠組み」を「システム」と呼びたい。例えば政治家がいまいちだったりするのは「間接民主制」というシステムによる事象であって、個々の政治家をせめたところであまり解決しない(これはルソーの『社会契約論』あたりで議論されてる)。破壊的イノベーションの場合も「優良企業のバリューネットワーク」という企業を取り巻く「システム」がそうさせるからうまくいかないんだなぁと自分は思った。何かを変えたいならそもそもの仕組みとかシステムを変えないと意味ないよねということだ。「破壊的イノベーション」の場合は、組織を分離してしまって破壊的イノベーションに高い評価をあたえるような「バリューネットワーク」を構築するのが一番だ、と言っていたし。
 
話がとぶけど、システムが決まると全体としての事象の傾向(マクロ的傾向)は決まると思ってて、 そうすると個人の意思ってなんなの?みたいになってくる。物理学だと「系」ですべての事象が決定されると思うんだけどそういうのに近い感じ(というか「系」って "System" なんだよね)。こういう時に思い出すのが、昔、村上春樹氏がなんかの賞を受賞した時にしてた「システム」と「個人」の話。

「壁(システム)と卵(人間)の共生」〜村上春樹氏「壁と卵」スピーチからの一愚考 - 木走日記

村上氏はシステムによって全体としての動きは決まってしまうし、個はいつもその犠牲になるのだけど、それでも個に光をあてるのが小説家の義務であろうと言ってる。壁と卵の比喩とか「さすがだなぁ」って思ったのを思い出したので書いてみた(小並感)。「システムは人間が変えられる」と言っているところもかっこいいんだけど、さすがに宇宙の法則(光速値とか各種定数とかね)までは変えられないよな、とか思ったりしたんだけどね。
 
本当は、もっと細かく網羅的にまとめを書きたかったけど息切れした。やっぱりこういうのは読んだ後にぱぱっと書かないとだめだなー。以下、本当はまとめたかったところを記載しておく。
  • 上位市場、下位市場への移動
  • 組織論:資源、プロセス、文化
  • 検証事例の紹介
  • 破壊的イノベーションに対応するマネジメント
あと、感想としては大人しく「最近だとこれが破壊的イノベーションにあてはまりますよね(キリッ」みたいなこと書けば良かった気がするけど (゚ε゚)キニシナイ!!。